********
"Five Easy Pieces"
Louis Sclavis (cl, bass cl)
Francois Corneloup (balitone/alto sax)
Laurent Dehors (cl,bass cl)
Yves Robert (trombone)
Michel Godard (tuba)
1999年6月24日(木) La Villette Jazz Festival (Paris)
********
6月末にまたまたスクラヴィスのライブを聴いてまいりました(*^^*)。
スクラヴィス追っかけ旅「夏の巻」です。
会場があるのは、パリ東北郊外のラ・ヴィレット。1980年代に作られた産業・科学・芸術都市みたいな場所で、広大な敷地(昔は食肉市場だったらしい^^;)に科学・産業館や、音楽館(Cite de la Musique)、多目的大ホール(Grande Halle)などの施設があり、広〜い公園(この設計もすごいらしい)で囲まれています。パリにはこんな場所もあるのかーって感じ。サイエンスや音楽を楽しく学ぶ場所ということらしく、コンサート以外で来ても楽しめそうです。セーヌ川に通じる運河が通っているので、遊覧船で行っても楽しいかも。
Cite de la Musiqueには、1,000席のホールのほか、膨大な古楽器や資料を備えるという音楽博物館が併設されていて、面白そうでした。国立高等音楽院(コンセルヴァトール)が隣にあります。移転してきたんだそうです。
ラ・ヴィレット・ジャズ・フェスティバル(6月24日〜7月4日)というのがまたまた超豪華プログラムで。6月24日の出演者だけでもご紹介しますと、
20:00(Cite de la musique) 20:30(Grande Halle) 20:30(Cite de la musique) 21:00(Grande Halle) 21:00(Grande Halle) 22:30(Grande Halle) |
Louis Sclavis "Five Easy Pieces" John Surman/John Taylor Remy Jannin Trio Christophe Monniot Sextet Henri Texier "Azur Quintet" John McLaughlin "Remember Shakti" |
よーするに時間が全部重なっていて、いくら大人170フラン、学割で145フラン(3,000円ちょっと)で聴き放題といっても、ちゃんと聴けたのはスクラヴィスとジョン・マクラフリンだけという仕組みなのですが(-_-メ)。Grande Halleは非常に大きな建物で、中に会場がいくつもあるんですよね。
ほかの日も、ちょっと見ただけでも、ピファレリ+クチュリエ+ジャック・ディ・ドナート、イタリアン・アンスタビレ・オーケストラなどなどの名前が並んでいて、夏はパリに移住したいと思ったくらいでした(^_^;;;
*******
…前置きばかりですみません。Five Easy Piecesです。話題の「ジャズ批評第100号」のインタビューでもスクラヴィスご本人が紹介している新しいプロジェクトで、チラシ(雑誌JAZZMANがフェスティバル会場で配っていた日替わり新聞)に載っているスクラヴィスの短いインタビュー記事によると、簡単に演奏できる5個の楽器、ではなく、演奏しやすい5人のミュージシャン、という意味なんだそうです(読み違えてなければ^^;)。要するに古い友達や、長いこと共演したかった人(Laurent Dehors)を集めて、新しいことに挑戦してみたという。ラジオ・ハンブルグの委嘱だそうで、初演はハンブルグ。時期は今年になってからでしょうか?
日がカンカン照り付けてカラッと暑い午後8時前(ちょうど夏至の頃ですから)、屋外カフェで冷たいものを飲みながらのんびりすごす大勢の人達を横目で見ながらホールに急ぐと、開場を待つ人達もけっこういました。満員の入り。自由席なのでまたなんとか最前列右寄りの席を確保(^^)v 客席から見て左端にスクラヴィス(クラリネット)、ミシェル・ゴダール(チューバ)、フランソワ・コルヌルー(バリトン・サックス)、イヴ・ロベール(トロンボーン)、ローラン・ドゥオール(クラリネット)で、時々両端の2人が場所を入れ替わったりする。
管楽器5つってどんなんだろうと思ったら、とにかく面白いんです。きちっと譜面も見ていましたが、現代音楽のアンサンブルともフリージャズとも呼びがたいような、一人一人の個性が際立ったソロがいい具合に入り交じった音楽。
曲名は、スクラヴィスのMCで聞こえたまま^^;書き取ったところでは、最初にスクラヴィス作「Portrait 1」、「Portrait 2」で開始。1曲目の途中でコルヌルーのバリトンサックスのソロがたっぷり。次いてドゥオール作「Poule」(プル?)、ゴダール作「Portrait of エフシ?」、「The Night Is Still Young」。それからコルヌルー作「ぎゃぎゃくぅ」(綴りも意味も分かりまへーん^^; なんか、サックスが日本の尺八みたいな音を出してたけど、まさか雅楽のイメージていうんじゃないですよね^^;)、イヴ・ロベール作「le sport a la tele」(テレビのスポーツ?って何なんだぁ)。最後の2曲が再びスクラヴィスの作品で、「l'enfance ethnique」(Ca commence aujourd'huiのサントラに入ってるやつ)、「Portrait No.4」。
「ぎゃぎゃくぅ」?から「le sport a la tele」、「l'enfance ethnique」まではとぎれ目がなくて、中心になる楽器が替わりながら一気に演奏されました。タイトルごとに3曲やったというより、各自の作ったテーマを組み合わせて構成したような感じ。タイミングとかスクラヴィスが仕切っているように見えるけれども、全体に手慣れた感じで、確かに気の合ったテクニックのある仲間が好きなことを楽しんでいる雰囲気が伝わってくるようでした。スクラヴィスのパートからは、聞き覚えのあるモチーフも聞こえてきたように思います。自在に使いまわしているのがライブ聴くとよく分かりますよね。
イヴ・ロベールのソロがなんだかとても印象的でした。時々暗闇で火花が散るような鋭い炸裂音を交えながら歯切れのよい、どこか静謐で寒色系の音。しーんとした会場のどこかで子供がぐずって声を上げたのですが、すぐさまそれに反応してトロンボーンで真似してみせたりする茶目っけもありました。
2人のクラリネット、音色はドゥオールの方が地味?なのかな。コルヌルーのサックスは渋くて、アンサンブルにぴったり馴染んでいた感じ。
派手な演出も長い解説もなく、相変わらず集中度の高い演奏が淡々と進行して、1時間ちょっとで終了。アンコールなし。進行上の都合かと思いますが、なんだか潔いです。録音されてCDが出るといいのに。終演後、会場でドミニク・ピファレリさんを見かけました。目配せしてくださった。あちこち出没するので顔覚えられてしまったみたいだ(^_^;;;
********
さー、アンリ・テキシェのアズール・クィンテットの最後の方だけでも聴こう!と思ってGrande Halleへ行ってみました。なにしろ建物内にたくさんステージがあるので、どこもかしこも大変な混雑。あちこちにカフェもあるので、みんなビールを片手に待ち時間も楽しんでいるみたい。この建物は、なんでも昔は牛の取引所?だったらしく、そう言えば、外から見ると古い鉄骨が昔の面影を伝えていまsす。中はみごとに改装されていて、ものすごい収容力がありそう。アズール・クィンテットは、体育館みたいな床にびっしり人が座っていて近くに行けないため、CDや本を売っているショップの中で聴くだけにしました。んー。なんか普通のジャズという感じだったです。もっとゆっくり聴きたい。このライブはチケットなしで無料で見られるものだったとはいえ、すごい数のお客と歓声でした。
Five Easy Piecesに堪能したので、残りは気楽に聴いて、深夜0時前には、名残惜しかったですがマクラフリンの演奏途中で会場を後にしました。やっと夜になったという感じの時刻です。しまった、会場で冷た〜い缶ビール買っておくのだった。自販機はないけれど、欧州の夏って楽しみが多くていいですね。