「2000年1月7日にミッシェル・ポルタルとルイ・スクラヴィスのデュオ・コンサートがあるよ。フランスに来るかい?」
突然こんなメッセージがe-mailで届いたのが1999年8月16日。しかも会場は、ルイが生まれて今も暮らしているリヨン。
そのときから「仕事は?休暇は?予算は?」と3カ月以上悩みに悩んで、でも思い切って行くことに決めてしまったひさしぶりのフランス。しかも初めてのひとり旅。滞在できるのは1週間だけなので、行き先は初めてのリヨンと3度目のパリにしぼりました。
行きは寄り道せずリヨンまで直行することに決定。メッセージをくれたリヨン在住のe-mail友達に教えてもらったホテルには、あらかじめfaxを送って予約を入れておきました。空港にはその友達が迎えに来るといってくれています。
1月5日昼過ぎ成田発のエールフランスパリ直行便でパリに向かい、シャルル・ドゴール空港で飛行機を乗り換え、リヨンの空港に着いたのは同じく5日の午後8時。
出口で、サックスのケースを目印にして待っているはずの初めて会う友人は...いました、いました。ソフト帽をかぶった、粋な感じのおにいさん。ジャンです。
挨拶をすませると、ジャンはさっさと旅行カートを私からとりあげて、駐車場へ案内してくれます。うわああ、車で迎えに来てくれてるうう 。
「ルイに連絡しようとしたんだけどね、留守でダメだったんだ。でも、コンサートの後で会えると思うよ」
「えーーーーーっっっ」
じつはジャン、ルイとは12歳!のときから幼なじみ。彼もセミプロのサックス・プレーヤーで、週1回はクラブで演奏するそう。...というところまではメールで教えてもらっていたのですが、空港から市内に向かう車の中で聞いたところ、彼の本職は精神分析医。町はずれにある大きな大きな病院に勤め、病院付属の看護学校の教授でもあるとか。
しかも彼はその昔、ゴング、ソフト・マシーン、ヘンリー・カウetc,etc,カンタベリー系ロックのコンサートをたくさんオーガナイズしていて、ロバート・ワイアットを大尊敬し、フレッド・フリスとは今でも大親友。その意味でも、ルイの活動で一番好きなのがフリスとジャン=ピエール・ドゥルーエとのトリオなのだそうです。
「でも、フレッドと会うときは、音楽の話より子供の話ばっかりしてるねえ〜」
だって。(*^o^*)
だから、私がサイトのなかの自己紹介で、好きなアルバムにアクサク・マブールを挙げていたのに驚いたのだとか。フランスの友達にアクサク・マブールを知ってるヤツなんていないのに!って。
「でも、あのアルバムは日本でリイシューCDも出たんですよー」と言ったらさらにびっくりしてました。
ちなみに、サックスの先生はデイヴ・リーブマンだそうで...(^o^;;;こんな人とあっさり知り合えただけでも、るいるいサイトを始めてよかったなあ、と感じ入るのでありました。
まずはホテル(彼の勤める病院の近所にある)に向かい、いったん荷物を置いてから市の中心部に向かい、家庭的な雰囲気のレストランでジャンの選んでくれた美味しい郷土料理を食べ(でも長旅直後であんまりお腹がすいてなかったの。残念!)、またまたホテルまで車で送ってもらい...きけば、7日のコンサートのチケットも私の分まで取ってくれているというし(後ほど説明しますが、コンサートはアル・ディメオラとディノ・サルーシのデュオも出るという大きなイベントで、チケット確保が一番の心配だったのです)なんだかVIP待遇みたいで凄いぞ、と思いながら、時差ボケとドキドキでなかなか眠れない夜を過ごしたのでありました。
とうとう、リヨンに来たのです。
(つづく)