いままで、フランスに行って直接かかわりを持った人(レジ係やカフェのギャルソンやおまわりさんを含めて)から、アジア人に対するあからさまな悪意を感じとったことは、幸い一度もない。でも、ごく小さな悪意を通りすがりに投げつけられた、という気がしたことは何度か、ある。今回もリヨンで、それが3回あった。不思議とパリでは気づかなかった。
「(リヨンのある)ローヌ・アルプ地方は極右の支持率が高い。僕等はそんな状況と、断固として闘っていかなければならないんだ」と、去年日本で聞いたルイの言葉が頭をよぎる。
ホテルは一応、明日の朝チェックアウトの予定だけれど、いつパリに出発するかは決めていませんでした。日曜までゆっくりするのもいいけど、この週末にもしかしたらミッシェル・ドネダがパリに出てこられるかもしれなくて、だったら会いにいきたいなあ、と思ったり。
朝食をとってからホテルの部屋で、スケジュールを聞こうとミッシェルに電話を入れました。
「明日の午後、ドミニクがパリに寄るんだよ。それで、僕と、君も知ってるパトリックも一緒に会うことになった」
「ドミニクがー!?パリに来るの!?」
「うん、でもドミニクは夜また用事があってナンシーに帰らなければいけないから、東駅前のカフェで彼の出発直前までねばることになったんだ」
ナンシーのドミニクが明日の夕方だけパリにいる!これを聞いて、決心がつきました。名残惜しいけど、明日パリに発つことにしよう。
昼前に、もう一度クロワ・ルスを訪ねることにしました。ホテルからちょっと離れた駅からメトロに乗り、乗り換えのベルクール駅 Bellecour でなんとなく途中下車。手持ちのフランが少なくなっていたのを思い出して銀行で両替をし、にぎやかな通りを見渡してFNACを発見。そういえば10年前初めてパリに行ったときは、レアールのFNACで、東京でも当時あんまり見かけなかったカエターノ・ヴェローゾのCDを10枚くらい買ったんだっけ(でもそのすぐ後、けっこう日本でも買えるようになったのよね^^;)。そうだ、時間と少々お金のある^^;今のうちにのぞいておこう。
ベルクールのFNACは、1階がCD-ROMやパソコンソフト(だったと思う^^;よく見なかった)、2階がCD、3階が書籍売場になっていました。さっそく2階に行き、まっすぐ「JAZZ」売場を目指します。
おお、アフリカン・トリオの「Suite Africaine」が、リリースから2カ月は経つでしょうに、まだ目立つところにディスプレイしてあります。このアルバム、またよく売れているらしいんだけど、ほんとにそうなのね...
そして、広告で見ていたルイの「Clarinettes」リイシューも新譜コーナーに並んでいました。ジャケットの写真は前と同じだけど、着色されていたのがなくなって、よりシンプルなジャケットになっている。ケースには「アモス・ギタイ『カドッシュ』に使われた曲"Mariage"はこのアルバムに収録」というシール。やっぱりアモス・ギタイ効果って大きいんだ...
それから、思い出して「子供向け音楽」の棚をチェック。これが大大大正解でした。 あるわあるわ、スティーヴ・ワリング〜ARFI人脈のCDがいっぱい!たいていLe Chant du Monde か Auvidis から出ているものだけど、フランス語で 歌われる子供向け音楽なんて日本じゃ需要がないので、ちょっと入ってこないものね。いくらARFIのミュージシャンが演奏してるといってもジャズのお店で 入れるのも難しいでしょうし。でも、スティーヴ・ワリングの歌ってすごくいいんだよ。買ったなかでもジャケットがかわいいのを紹介してしまおう。
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Steve Waring / ROND PAYS (1999) Le Chant du Monde, CME 274 1125 Steve Waring: chant, banjo, g Alain Gibert: tb, arrangements, direction artistique Jean-Paul Autin: sax alto & soprano Jean-Luc Cappozzo: bugle, tp, saxhorn baryton Michel Saulnier: b - Christian Ville: ds, perc Thomas Waring: piano, balafon, coach musical Marie-Anges Perronet, Alice Waring: chant |
Steve Waring / L'OGRESSE - 12 chansons a devorer (1989) Le Chant du Monde, CML 574 908 Jean-Paul Autin: Cls, Sax, pipeau Bruno Chevillon: b - Gilles Cottin: piccolo Alain Gibert: programmations, tb, vo, arrangements Marc Girardot: tuba - Francoise Guyenon-Duchene: flute Jean Mereu: tp - Claude Rabasarazaka: caxixi grande Christian Ville: lithophone, scie egoine, cliquettes, balafon, caxixi, ds, vo Guy Villerd: ts, vo - Thomas Waring: piano electrique Steve Waring: piano a pouce(sanza), bariton, scie musicale, g, banjo |
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私の買ったL'Ogresse (ブルーノ・シュヴィヨン 参加!)は1998年の リイシュー。 ケースがそのまま絵本に なっているの。ほら。 |
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CDを買ったあと書籍売場に行ったけど、探しものが見つからず、まあたぶんパリで買えるだろうということで、ベルクールから再びメトロに乗ってクロワ・ルスへ。駅周辺は、こじんまりしてるけどちょっとしゃれたお店が多い界隈ですが、じつはルイのおうちもこの地区の、とある通りにあります(ついチェックしてしまったワタシ...^^;)。
「1月7日のコンサートに行きまーす」という連絡を年末に入れておいたのだけど、読んでくれたかなあ。ルイは忙しくてほとんど自宅にいるひまがないらしいし...
このあと、昨日のレコードやさんにもう一度行こうとヴュー・リヨンに戻ったのですが、だんだん頭が痛くなってきました。寝不足と疲れのせい?でも、きょうだけは絶対ダウンできません。だってだって、リヨンには今夜のために来たんだものおおお(^^;)
大事をとって、バスでホテルに帰り、夕方まで仮眠をとることにしました。
ぼーっとしてたらあっという間に夕方になり、仕事を終えたジャンが車で迎えにきてくれました。
まだ用事が残っているというので、勤務先の看護学校にいったん戻ります。この学校は総合病院の広い敷地内に併設されているのだけど、ともかく、「広い敷地」の広さというのがハンパじゃなさそう。病棟もいくつもあるようだし、院長さんたちの住まいや、患者さんのための教会も見えます。ジャンの話ではシアターもあるんだそう。精神科では芸術療法を行っていて、治療室(というかアトリエ?)の窓から、患者さんたちの作りかけの作品が見えます。完成するとニキ・ド・サンファルっぽくなりそうな彫刻などがありました。作品を展示するギャラリーもあるそうで、時間がなくて見られなかったのが残念!
ジャンの研究室の壁には、しっかりデイヴ・リーブマンとロバート・ワイアットの写真が貼ってありました。
それから、ジャンの住むアパルトマンにいってパンだの生ハムだので軽く食事をし、彼のLPコレクションをちょっと見せてもらいました。
ううううむ。リアルタイムで買ってる人はやっぱりすごい。ニューフォニック・アートの3枚組とか、ポルタル様の名盤といわれているライブ「No, No, but it may be」私は生まれて初めて実物を見ました。その場で少し聴かせてもらったけど、カッコいい...CD再発の予定はないんだろうか>ポルタル様
「このライブは当時、TV放送されたんだ。ポルタルはすでにクラシックの演奏家として有名だったけど、このライブの彼は強烈にワイルドでね、凄かった。若い連中はこれを見てまさに度肝を抜かれたってわけ」
また、ジャンの宝物だというポストカードも見せてもらいました。ロバート・ワイアットから届いたカード。ワイアットの奥さんから届いたカード。フレッド・フリスのカードは、流ちょうなフランス語で書いてありました。
いよいよコンサート会場のオーディトリウムに出発。ジャンのガールフレンドとは会場で待ち合わせることになっています。(つづく)