きょうは、ゴージャスにも「ロンドン報告」をお送りいたします!
とゆっても、特派員は私ではありません。今年からロンドンに留学しておられる「ナルト」さんが、11月に行われた「ORIS JAZZ FESTIVAL」のライブレポートを書いてくださいました。
これはもともと、nifty-serveのジャズフォーラム(FJAZZ)にある、「倶楽部ECM」というヨーロピアンジャズ会議室でのご発言でした。ミュージシャン達の姿が目に浮かぶような臨場感にあふれた面白さに、私がフランス関係のライブレポートをこちらにも転載したいとナルトさんにお願いしたところご快諾くださり、そのうえお忙しいなか転載用に原稿の手直しもしていただきました。ナルトさん、どうもありがとうございますーーー!(^o^)/
では、さっそく力作レポートをどうぞ。
なお、本文中に突然「太字」になる部分がありますが、これは「転載者による強調」とご理解くださいませ(^^;;;
ORIS JAZZ FESTIVAL
この10月からロンドンに留学しているのですが、11月に、1週間にわたってORIS JAZZ FESTIVAL(スポンサーが時計メーカーのORIS)という催しがあり、チック・コリア、ジョン・テイラー&ノーマ・ウィンストンなどなど、いろんなミュージシャンのライブを楽しむことができました。他にもジョン・マクラフリン、マリア・ジョアン、レスター・ボウイーのようなメジャーな人や国内外の新進ミュージシャンが、市内のホールやライブハウスで連日ライブを行いました。
最終日の11月15日(日曜日)には、”VAGUES NOUVELLES/NEW WAVES”と題する、英仏の実験的なジャズ演奏を紹介するコンサートがありました。お昼に始まって、えんえん夜の10時半まで、10個ほどのライブが、隣接する2つのホールで交互に行われるという豪華なプログラム。共通入場券はたった7.5ポンド(1,500円くらい?)です。とても満足度の高いコンサートでした。
日記のようなレポートでお恥ずかしいのですが、”VAGUES NOUVELLES”から、フランス 関係のライブ3つについてご報告してみます。
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ORIS JAZZ FESTIVALより ”VAGUES NOUVELLES”
(1998年11月15日、Queen Elizabeth
Hall(QEH)/Purcell Room(PR))
14:30-16:00 QEH: Michel Godard "As Bold As Brass” (無料)
→客演:Dominique Pifarely, John Surman, Pierre Favre and others
20:30-21:30 PR: Dominique Pifarely / Francois Couturier
21:30-22:45 QEH: Louis Sclavis / Aldo Romano / Henri Texier
--- Michel Godard“As Bold As Brass”
チューバ奏者のミシェル・ゴダール、トロンボーンのAnnie Whiteheadが主催する教育プロジェクトの発表会でした(今年で第3回を迎えるというこのフェスティバルでは、毎年、青少年向けのブラスバンド・プロジェクトが行われている模様で、今回もこの他にピーター・キングのプロジェクトなど3つの発表会がありました)。一般公募で集まったメンバー100人が、10月初旬からワークショップに参加して練習を重ねた模様。ゲストでJohn Surman (saxophone)、フランスからLinda Biri (Marine Trumpet, vocal)、Dominique Pifarely (violin)、Pierre Favre (drums)が出演しました。
Linda Biriおばさまがかついできたのは、Marine Trumpetという古楽器で、トランペットとは名ばかりの、ベースほどもある大きなモノコードの弦楽器。アルペンホルンのように抱えて、肩の前あたりで弓で弾きます。(解説によると、12世紀ドイツで「nun’s fiddle」と呼ばれたもので、当時、修道院で尼さんがトランペットを吹くのは場違いというので考案された楽器で、Biri女史はその数少ない演奏者なのだそうです^^;)これらプロ奏者が中央に並び、ゴダール自身もチューバを演奏し、Whitehead女史が真ん中で演奏と指揮をしていました。
プログラムはWhitehead女史のオリジナル曲がほとんどだったようで、100人(年齢も様々だったよう)も集めたのだから、さぞかしきらびやかなブラスの音色が...と思いきや、かなり現代音楽してました^^; いっせいにフリ〜、という箇所もあったみたい。
ブラスは、あまり音を出さないパートもあったけど、参加者の皆さんは楽しんだのでしょうか?? でも、ピファレリさん(私はこの時初めて拝見しました!)はじめ、ゲストは相当力入ってましたから、きっとすごい体験だったと思う。
いや〜ピファレリさんです(*^^*) マイクを使っていたと思うので、そのためか音がすごく固く聞こえましたが、それでよけい硬質な響きがして、うわー凄いと思いました。正確無比っていうんでしょうか、非常にクールな色気のようなものがあるのに、無駄なものがいっさい感じられないのは、贅肉のないお身体から繰り出される演奏のせいでしょうか^^; 教育プロジェクトってことで、バンドのみなさんはユニホーム着てるし、ピファレリさんも黒ズボン、白シャツで、髪もびしっと縛り、さっそうと登場しました。時々、激しい演奏のため弓の糸が切れてたれ下がるのを、演奏の合間にブチ切って捨てるさまも決まっている^^; バイオリンがあんな弾き方もできて、あんな音出しても決まるなんて...。
客席は、出演者のご家族友人らしき家族づれも多く、最後まで熱心に聞いていました。Biri女史の熱演熱唱、ゴダールによる古楽器Serpentの演奏など、とにかく盛りだくさんで、退屈しなかったです。最後にようやく気分高揚効果のある労働歌かマーチ風の一曲(何語か分からぬ怪しい歌唱つき^^;)があったのですが、フリー風にどしゃめしゃに盛り上がって?終りました。
--- Dominique Pifarely / Francois Couturier
ライブは2つの会場で交互に行われるのですが、これが時間かっきりに始まるのです。前のプログラムの終演が少し遅れると、次のプログラムの開演に間に合わないという(-_-メ) このお二人のは、演奏中入場できません。1時間のライブなのに、最初の15分弱、ステージ脇のドアの外で並んで待ちました。ご馳走を一皿食べそこねた気分(;_;)。
しかし、急いで座ろうとしたおかげで、最前列にひとつ空いてた席につくことができました。わ、演奏者と視線が合ってしまう至近距離(^^)v それにしても、途中でお客がどやどや入るのがほんとにイヤそうでした^^;
見ると、ピファレリさんは、ブラスバンドの時とは違う、黒とグレーのチェックのゆったりしたシャツにお召し替えです(^^) 会場のパーセル・ルームは、隣のクィーン・エリザベス・ホールより一回り小さな小ホール。ピアノを置いただけの、何もないシンプルなステージです。
聴けたのは全部で6曲。新作Poros(ECM 1647)の収録曲からでしたが、このアルバム、私にはとても口ずさめない^^;曲ばかりで、”Warm Canto”、”Retour”など特徴的なものしか分かりませんでした(3曲目あたりに聴いた、ピアノの華麗な即興?がえんえん続く迫力ある曲はなんでしょう?)。ただ、ライブの方が、たたみかけるような速度とか勢いがあったのは確か。明らかにCDと違う演奏部分も多かった気もしますが?そういう所がジャズなのかなぁ?? と思ったり??
最後に演奏された”Gala”も、冒頭にCDとは違う感じの演奏が長く入り、内容も激しかったような。要所要所をつなぐ部分はかなり柔軟にやっているように聞こえました。でも2人とも終始譜面から目を離さないのです。アイデアが書いてあるのでしょうか??
とにかく、主としてピファレリさんの息継ぎに合わせてこちらまで力が入り^^;、クチュリエさんの時に玉を転がすような?音色に聞き惚れ、小1時間、実にすがすがしい集中を味わいました。アンコールなし。お客は直ちに隣の会場へ移動しなくてはなりません^^;
--- Louis Sclavis / Aldo Romano / Henri Texier
聴いてきました! 前から2列目で。初ライブ体験です。私、スクラヴィスって、なぜか白皙痩身の美青年??のイメージを持ってたんですよね(^^ゞ しかし、グレーのずぼんにグレーの丸首セーター、耳の上でぱつんと髪をカットした、大学生かぼっちゃんのような雰囲気の方がすたすた現れて、「きおつけ」のままバスクラリネットを吹きまくり始めたので、いささかのギャップに、ありゃーという感じでした(^^;スミマセン。あの楽器って、吹く時直立不動になるもんなんでしょうか。)このライブがフェスティバル全体のトリを努めたわけで、夜も遅かったのですが、大勢のお客さんが残っていました。
CD(”carnet de routes” LABEL BLEU / LBLC 6569 HM 92)収録曲をたて続けに演奏しましたが、CDより即興は多いし、迫力あって見ていても面白かったです。やはり写真集のとおり、人を踊らせる音楽なんでしょうか。1曲目はCD3曲目のDaouland、2曲目は2曲目のVol、3曲目は5曲目のANNOBON、4曲目は1曲目のStanding Ovation...。なんだかメロディ部分以外はほとんどCDの演奏と違ってたみたい。3曲くらいずつ、交代で曲の紹介を(だいたい仏語で)していました。
刑事コジャック風風貌(に見えた^^;)のアルド・ロマーノといい、ど迫力のアンリ・テキシェといい、渋くてかっこいいおじさんですねー(*^^*) 帰ってから、CDに入ってる旅日誌写真集(これ大好き(^^))をつくづく見ると、なんだ、スクラヴィスさんもやっぱりハンサムではないですか(笑)。
テキシェのベースから特にアフリカぽい音が聞こえた気がします。弦をぼんぼんたたくのとか。きっと、写真にあるとおりハードな旅をしながら、楽器を自在に荒っぽく扱うコツを体得したのかも??などと想像したり。...それにしてもこのアフリカツアー、フランス政府の肝いりで計画されたというのが面白いですね。
5曲目は、スクラヴィスの紹介で、ビル・エバンス?の”My Beds”?と聞こえたんですが、そういう曲ありますか?(^^ゞ 聞き違いかなぁ。クラリネットがきれいなメロディを奏でるゆっくりした曲でしたが。
6曲目でまた旅日誌の最終曲 Entraveにもどり、最後の7曲目はスクラヴィス作品、CD6曲目のLes petits lits blancs (The little white beds)でしたが、なんか白いベッドの思い出でもあるのでしょうか。5曲目もベッドの曲??みたいだったし。この最後の曲が凄くて、まずテキシェ、ロマーノの2人は舞台そでにひっこんで、スクラヴィスひとり(きおつけして)バスクラリネットでソロを奏で始めるのですが、息継ぎするところも見えず、えんえんと低音の細かいトリルに始まって吹きまくります。名人!という感じでした。何分かソロが続いたあとで、2人が合流して、わーっとテーマが始ってクラリネットに持ち変える...という流れに、CDとはまた違う迫力を感じました。とにかく、スクラヴィスのバスクラリネットが圧巻!でした。
もう11時近くなっていましたが、拍手は止まらず、アンコール1曲、聴いたことがある気がするのですが、曲名が分かりません(^^ゞ スピード感のある明るい曲。
...終了してホールを出たのは11時を回っていました。ふー。堪能しました(^^)
--- BBC3のORIS JAZZ FESTIVAL特集番組
1週間後、ラジオのBBC3(クラシック専門FMチャンネル)で毎土曜日夜11時半から1時までやってる「JAZZ ON 3」という番組で、今回のフェスティバルの特集がありました。フランス特集からは、スクラヴィスのこの7曲目が紹介されていました(^^) 改めて聴いてもすごかった。
@@@ナルト@@@ from London