さあいよいよです。いよいよ来月、ルイが来ます。
で、その前にルイの最新作情報!(提供はツシマさん@YTT。感謝!)
さて、その最新作とはベルトラン・タヴェルニエ監督の映画 " Ca commence aujourd'hui " (it begins today) のオリジナル・サウンドトラック。映画はベルリン映画祭でプレミア上映、本国での公開は3月。サントラもフランスでは3月9日発売予定。この映画は、フランス北部の町の幼稚園(保育園かしら^^;)を舞台に、そこに通う子ども達とその親、教師の関わりのなかから、現在フランスが抱える深刻な失業問題と、それが社会にどんな影響を与えているかを、決して声高に批判するわけではないけれども、シリアスに描いた作品のようです。この映画の製作会社によるofficial siteもあるんだけど、まだ工事中のとこが多いなあ。それに、せっかく予告編ビデオがダウンロードできるようになってるけど、試したらMACでもWINDOWSでも「これはRealVideoファイルじゃありません」って言われてしまったのだ。くすん。音楽も聴けるかと思ったのに。ダウンロードに成功した方がいらしたら教えてください。
ところでタヴェルニエとルイ、といえば15/09/97に書いた" Daddy Nostalgie "のサントラにルイが参加してるんだけど、タヴェルニエってリヨン出身なのよね。『ラウンド・ミッドナイト』とかジャズ映画も撮っているし、昔からルイとご縁があったのかしら、と思ったりして。
えーと、それからどうしよう、そうだ、こないだ来日してすごおおおおおおくカッコよいステージを見せたダニエル・ユメール・トリオで、とってもヘンタイなギターを聴かせてくれたマルク・デュクレの新作リリースが決まってるよーん。
メンバーは、デュクレ、あんなにクールな美青年なのに実はむちゃむちゃ陽気なラテン系(^^;)のブルーノ・シュヴィヨン(わーい、3月にまた会えるよーん!)、そしてドラムスはユメール巨匠ではなく、1970年生まれのエリック・エシャンパール。ルイの" Danses et Autres Scenes " " Le Phare "に参加している男の子。もうレコーディングは終わっていて、Screwgunレーベルから来月あたりに出るらしいです。
あと、デュクレは来月、ブノワ・デルベック&ギヨーム・オルティがいるKartetの結成10周年ライブに出演予定、引き続きKartetの新作レコーディングにも参加するって。彼はブノワたちの活動を高く評価しています。わーい。特にスティーヴ・アルグエルを絶賛していて、「スティーヴはほんとにいいドラマーだねえ。彼とは、もっと一緒にやりたいねえ」と話していました。
そうそう、デュクレは一見、スキンヘッド&濃い顔&ロッカー系趣味の服&サングラス&ステージでのヘンタイなギタープレイ&ワイルドな雄叫び(^^;)で相当怖そうに見えるのだけど、実際はたいへん物静かで落ちついたお兄さんなのです。スティーヴのこと聞いたのは最終日のDUGで行われたライブの後でしたが、その模様を思い出してみますと:
「スティーヴとは、一度だけデュオで即興したことがあるよ。それも凄くいい出来だった。1曲だけだったけど、とても気に入ってる。NATOのためにレコーディングしたんだ」
「えーっ!どのアルバムですかーっ」
「アルバムはねえ、うーんと・・・・・・・あれ、思い出せない」(でも落ちついている)
「ちょっとー(^^;)もうリリースされたアルバムなんですかー」
「うん、ちょっと待って今思い出すから・・・NATOのさあ、コンピレーションで・・・だめだ。思い出せない」(それでも落ちついている)
「・・・(ハタと気づく)それってドゥルッティ?」
「あー。そうだったかも。きっとそうだよ。うんうん、ドゥルッティ」(やっぱり落ちついている)
と、なんかとてもマイペースの人で、いいなあ。
それから、デュクレはJMTレーベルへのレコーディングが多いんだけど、そのへんの旧作はどうなってるのかなーと思ってたずねたところ:
「JMTでリリースしたアルバムの権利は全て、シュテファン・ウィンターがポリグラムに売却してしまったんだな。で、ポリグラムのほうには再発しようという気は全然ないわけ。だから、アルバムはほとんど入手不可能になってるよ。いま、シュテファンのW &Wや、ティム・バーンのScrewgunレーベルで、なんとか、ティムや僕の旧作を再発しようと努力はしてるんだけど、なにしろ権利は全部ポリグラムが持ってるから、話がややこしくてね。なかなか実現できないんだ」
がーん。しかし、あとでいろいろ聞いてみると、JMTの「在庫」はときどきひょっこり出てくるらしいので、オーダーして気長に待ってみる価値はあるようです。ともかく、ほしいひとは見つけたときに買うのが一番かも。
話は変わりますが、ルイの来日情報webに掲載したルイの写真、初来日のときに撮影したものだそうです。つまり1990年。9年前。若いです。ちょっと、今のルイとは様子が違うはずです・・・「幅」が。(^^;) あー、あんなに細ーいブルーノと並んだら、幅が目立ってしまうんじゃないかと今から余計な心配を...これがフレッド・フリスとジャン=ピエール・ドゥルーエとのトリオだったら目立たないでしょうに、ってそういう問題か?ああ、「チャーミング」と言ってくれたNさん、ありがとうございます(^^;;;
それはさておき、掲示板のほうで書いたのはそのうち消えちゃうからこっちにも書くけど、昨年11月にベルリンで行われたFMP主催の TOTAL MUSIC MEETING フェスティヴァル。ここでルイのソロが強力にすばらしかったとは横井一江さんが報告してくださったのですが、先日届いた
Improjazz の記事では、ギタリストのジャン=マルク・モンテラ Jean-Marc Montera とのデュオについても「ライブの録音は絶対CD化すべき。フランスでもこのデュオを見せろー」(^^;)と大絶賛されていました。嬉しい。なんかもう、最近のルイはフランスのジャズ界ではかなりマジでスターみたいで(こっちにいるといまいち実感がわかないのよね...)、フリス&ドゥルーエとのトリオのライブでは、ルイ目当てにたくさん集まったお客が、演奏が始まってからどんどん帰っていった(つまり、彼らが期待していたような演奏とは全然違うことをやっているわけで^^;)なんて話もあるらしいし、文化省から表彰されたのを悪く書いたメディアもあるそうだし、たとえば "Danses et Autres Scenes " や " Carnet de Routes " みたいに、とても優れた作品であり、なおかつ割と一般受け(?)しやすいアルバムがあると、片方にはそういうのばっかり求めてくる保守的な聴衆がいて、もう片方にはそういうのを日和ったと見なす人たちも出てくるだろうし、その両方の人たちとルイはある意味で闘っていかなければならないわけで、私は遠い日本で輸入雑誌の記事をみては一喜一憂しているのだけど、でもルイ本人は世間の評判とは全然関係なく、いろんなミュージシャンとの出会いとコラボレーションにわくわくしながら音楽を作っているわけだから、そんな私が心配することじゃないのよね。いろんなインタヴューのなかで、ルイが「僕の音楽で一番重要なのは"人間"」あるいは「音楽よりも人間が大事」と言い切っているのを何度か読んでいるけれど、それがルイの一番の強さ(と、どんなスタイルでも伝わってくるあたたかさ)なんだと思う。
だから、4年半ぶりの日本で、その強さを見せてね、ルイ。