5月12日から16日まで5日間にわたって行われた「クロード・バルテレミーとDUGの仲間たち」。
私は、けっきょくどうしても都合のつかなかった15日以外の全てに通ってしまいました(^^;
しかし、この先何度でも言い続けたいと思うのだが、演奏の素晴らしさにひきかえ、この観客の少なさはナニ??初来日ならともかく、バルテレミー、前に一度来日してるんだよー。ONJでセレクト・ライブ・アンダー・ザ・スカイに出てるんだよー。なんつーかフランスのミュージシャンの不当な知名度の低さに憤りをおぼえるわけだが。
しかしそんなこととは全然関係なく井野信義さん、小山彰太さんとバルテレミーのトリオは日を追うごとに強度を増し、バルテレミーのギターは炸裂度・ヘンタイ度を倍増させてゆくのでありました。
いやすごい。ほんとにすごい。炸裂度でいったら、ピットインの4tet以上。ほとんどエフェクターを使わず、「ナマ」なエレキギターの音で勝負するその潔さ。そして超・余裕の速度!ユーモア、時折みせるロック魂(^^;!くわああああ、カッコいいぞおおお。
曲は4tetでやった曲にスタンダード、さらに"Monsieur Claude"収録曲が加わり、中でも"La Pasionaria"を4人の異なる日本人サックスプレイヤーの演奏で聴き較べることができたわけで。これはとても興味深いものでした。
とりわけ私にとって圧倒的!だったのは14日の林栄一さん!
呆然としちゃいました。初日の梅津さん、2日目の早坂さんとも面白いと思っていたはずなのに...林さんの"La Pasionaria" といったら!ほんとに、これこそが、私の聴きたかった"La Pasionaria"なんだ!...と、涙が出そうになったよお。
DUGのライブは毎晩二部構成になっていて、休憩時間を充分とっていたし、終演後もけっこうのんびりできたので、私はできるかぎりバルテレミーさんとお話しました。
彼はギターも速いがしゃべるのも速く(^^;せっかくのお話もいまいち聞き取れないことも多々あったのですが...勉強しよ(T_T)
でも、バルテレミーさんの方から「やあ、元気?」なんてこっちに来てくれたり、周囲の人たち皆が気持ちよくいられるように、とても気をつかう優しい人なのです。
「(林さんとの演奏が終わった後)"La Pasionaria"はもう2回聴いていたけど、きょうが一番良かった!」
「うん、僕もそう思う。それは彼(林さん)のおかげだよね。彼はドニクに近いフィーリングをもっていて、ロマンティックでまったく素晴らしいよ」
「私はちょっとミッシェル・ドネダのことも思い出したの...」
「うん、ちょっとそんなところもある。ドニクとミッシェルが混ざったような感じ。ともかく、今日までに3人のサックス奏者と共演できたけど、彼が最高だね」
「草月ホールで、エリーズがロバート・ワイアットの"Sea Song"歌ったでしょう?あれはあなたが選んだの?(3日目にご一緒したSさんの質問)」
「もちろん僕もやりたかったし、メンバー全員で選んだ曲だ。日本でもワイアットって人気あるの?フランスじゃ、彼はもう神みたいに崇拝されてるんだ。だから"Sea Song"は誰でも知ってる曲なんだよ...実は、僕がONJの音楽監督だったとき、ワイアットをゲストに招きたいって思っていたんだ。結局、彼の健康状態が芳しくなくて、実現しなかったんだけど」
「フィリップ・デシュペもこの曲録音してるよね。ジャック・マイユがヴォーカルなの」
「EAO(註:「うーあーおー」と読む^^;)トリオで?それは知らなかったなあ。僕はこの曲をレゲエ風に演奏したこともあるよ、あはは。レゲエも大好きなんだ」
「シルヴァン・カサップと共演してるレコードがあるの?(初日、ご一緒したフリーインプロな床屋さんM氏の情報による)」
「"Saxifrage"のことでしょ?違う?ああ、"Foehn"ね!それもあるある。シルヴァン・カサップは幼なじみなの。10歳のときから知ってるんだ」
「10さい〜〜〜〜!!??」
「そーそー。ヤツとは家が近所でさあ、小学校から一緒だったわけ。古いつきあいだよねえ」
彼は最終日の、正統的なジャズスタイルの峰さんとの共演もすごく楽しんでいて、リラックス度は最高の演奏でした。
「でも、本当のこというと私はエイイチ・ハヤシのほうが好きなのよね...(^^;」
「うんうん、そうでしょう。君の好みはよおーくわかってるよ...;-)」
ロックもクラシックもレゲエもシャンソンもみんなみんな大好きで、それを全部、怪物みたいにのみこんじゃうような人。
「シャルル・トレネが"Fou chantant"(歌う狂人)なら、あなたは
"Fou jouant de la guitare"(ギターを弾く狂人)だね!」
「ふふふ、シャルル・トレネは僕にとって神様さ...」
「こうやって日本のミュージシャンたちとたくさん知り合うことができたし、また日本に戻ってくるよ」
そう言ってフランスへと旅だったクロード・バルテレミー。うんうん、きっとまた会えるよね。そしたら今度こそは、たくさんの観客の前であのプレイを聴かせて、みんなの度肝を抜いちゃってくれよお!
ここでちょっとお知らせ。
「ジャズ批評」誌がバルテレミーさんにインタビューをしたそうです。次号か、次の次の号か(^^;わかんないけど、掲載される予定です。読みましょう。