クロード・バルテレミー来日公演の嵐が過ぎ去り、ふと我に返れば3週間以上日記を更新していなかったのでした。すみません。
それにしてもそれにしても。
フランスを代表するジャズ・ギタリストが来日していたにもかかわらず、こんなにお客が少ないってどういうこと??と暗い気持ちになったりするのだけど、バルテレミーはそんなことぜーんぜん関係ないよっって感じで、自分の4tetも、シャンソンも、日本のミュージシャンとの共演も、心から楽しんでいる様子で超絶プレイを聴かせてくれたのでした。
東京の初日だった新宿ピットインでは、いきなりのブルースから入って次第にバルテレミーらしい逸脱・ヘンタイ(^^;ぶりを炸裂。でもあくまで4tet編成を大事にして、あんだけ弾きまくっているにもかかわらず、他のメンバーとのバランスの良いこと!ドラムのドゥニゼ、ベースのポンテュ、トロンボーンのポミエとも「いい仕事」してる。私は特にポミエさんのオーソドックスながらやんちゃ系トロンボーンがとっても気に入ったのでありました。
草月ホールは「天からの贈り物」なるタイトル、二人の女性シンガーを招き古今のシャンソンからジャズ・スタンダード、さらにロバート・ワイアットの「Sea Song」までをとりあげて独特の世界をつくりあげます。
で、この女性シンガーが強力。ロック・ブルース系パンチの効いた豊かな声とへんてこでチャーミングなアクションが印象的なシルヴィ・コボ、控えめながら素晴らしくコントロールされた美声で会場を満たすエリーズ・キャロン。
こちらも、初めけっこうオーソドックスなアレンジで始まったかと思いきや、どんどん「変」になっていくのだ!バルテレミーのギターはやや控えめだったけど、アコースティックギター弾いたのはこの日だけだったなー。もっと聴きたかったなー。
エリーズのことは少し前にミヒャエル・リースラーの新譜"Honig und Asche"(enja)で知ったばかりだったけど、こーんーなーにー魅力的なヴォーカリストが日本で無名っていうのは何か間違ってるとしか思えん!
終演後、急遽「楽屋突撃隊」(^^;を組織した我々は帰り際にエリーズにも会うことができました。目の前にいるエリーズはほんとに美人っ。きんちょーの一瞬。
「あなたの歌、聴いたことがあるんです。みひゃえる・りーすらーの...」
「え、誰のアルバム?」
「(げっ、バルテレミーさんには「りーすらー」で通じたのだが)えとえと、みっしぇる・りーすれる」
「ホント!?あのアルバムはフランスでも1カ月くらい前に出たばっかりなのよ」
「私も1カ月くらい前に買ったんです。新宿のお店で。ほら!(すかさずCDを出す)」
「信じられないわ!うれしい。ありがとう」とニコニコ、サインをしてくれるエリーズ。
「私のソロアルバムを持ってきているんだけど...(もちろん購入済みだったのら^^;)これは現代音楽で、今日のステージとはだいぶ違うの。気に入ってもらえるかしら」
そして「こんどは日本語に挑戦したいの」と、アルファベットで日本語のメッセージを書いてくれました。
うーん、すばらしい声とテクニックと美貌を兼ね備えてしかもフレンドリーなエリーズ、あなたって素敵だわっ(*^.^*)
で、件のソロアルバム "lerapatirole" (ECDC 1996)、これがまた。ドゥニ・シュイエ Denis Chouillet というピアニストとの共作で、繊細にして優美なオリジナル"20世紀フランス歌曲"。くうー、すばらしい。
そんなわけで、お話は新宿DUGへと続くのであります。