というのを自分で企画して自分で行ってきました! 欧州はこれからフェスティバルの花盛り。見られるものは限られているけれど、インターネットでプログラムを検索しているだけでわくわくしてきます。
今回見たものは、以下のライブです。
4月6日 Sclavis-Frith-Drouet Trio ("Banlieues Bleues",於Bobigny (Paris))
4月8日 Louis Sclavis Trio ("Europa Jazz Festival du Mans", 於La Ferte Bern
ard)
4月9日 同上 (同上、於La Fleche)
4月10日 Louis Sclavis Solo (同上、於Crannes en Champagne)
********
Sclavis-Frith-Drouet
1999年4月6日(木)20:30 MC93 (Bobigny, Paris)
Louis Sclavis (cl,bass cl), Fred Frith (g), Jean-Pierre Drouet (perc)
********
日本ツアーのあとも、休みなく各地を飛び回っているスクラヴィス。パリの「バンリュー・ブルー」フェスティバルで、フレッド・フリス、ジャンピエール・ドゥルーエとのトリオを聴きました。Roscoe Mitchell & The Note Factoryとのジョイントで、トリオの方が1stセットでした。
バンリュー・ブルーは毎年恒例の有名なジャズ・フェスティバルで、今年もサン・ドニ などパリ郊外(=banlieues)のあちこちの会場で開かれました。プログラムはここに。
Bobigny(ボビニー)もパリ20区外?で、市街観光地図からははみ出す町。会場はメトロ5番線の北側の終点から歩いて7,8分のところにある立派なホールで、このあとはフランクフルト・バレエ団の公演なんかもあるようでした。
1時間以上前に着いたのですが、当日券が出るかどうか、事務局から聞いてないので分からないと言われる。予約なしで来た人が30人くらい、受付の前に固まりました。手際悪 かったけど親切で、なんとかチケット入手。こういうフェスティバルって、念のため予約しといた方がいいみたいだと思いました。会場の広さも見当がつきませんし。
広いロビーでは、スタッフがずらっと並んで立派なパンフレット(無料)を配ったり、Tシャツの販売をしたり(F130くらいだったか?売れてなかったけど)、ポストカード1枚5フランだったり。お金かかってる感じ。スポンサーもフランス・テレコムとかエア・フランスなど、大企業が名を連ねてます。
ホールは満員御礼状態で、いかにもジャズファンという雰囲気の人も多いですが、大半はなんか地元の人が楽しみにきてるという感じ。こういうフェスティバルは、郊外の人の楽しみなんだと聞きます。全席自由なので、前から3列目あたりの端っこに残っていた空席に、そこ空いてますかーと言って飛び込む。
このトリオの初演は1997年のフェスティバルson d'hiver(パリ)だったそうですが(Mikikoさん情報)、その後も1998年のメールス(ドイツ)フェスティバルなど、何度も演奏しているようです。
見て聴いて楽しめるフリージャズていうか。私には聴きやすく(耳に甘いというわけではぜんぜんなく、すごく集中させられるし、それが心地よい)、しかもわくわくするステージでした。なんか叙情さえ感じました。これを聴くだけでドーバー海峡渡ってきてよかったと思いました。
1stセットで、時間も1時間ほどと限られていたのもあるかもしれませんが、本当にきちっと時間内に起承転結(それも無数に出てくる)つけて収めてしまう技が鮮やかだなぁと感じられる。そういう感心の仕方が的を得ているのかどうか分かりませんが。
フレッド・フリスは初めて見たんですけど、すっごい。ギターがもう、彼の手にされるがまま^^; いろんな道具を脇の台に並べて、洗濯ブラシとかタオルとか使って、ギターを抱えたり寝かせたり、ピックで弾いたり叩いたりこすったりして、多彩な音(ものすごく美しい)を繰り出す。人気があるの分かりました。
中央に座っているジャンピエール・ドゥルーエは、いろいろ叩きながらいろんな声を出したり、ハーモニカを吹いたり、ひょいひょい歩いて踊りながら?演奏を続けたり。これがまた何をやっても決まっていて。演奏中、長い部分で終始一定の疾走感あるリズムが刻まれていったり、またうねるような静かな演奏になったり、なんか全体に途切れない快速のリズム感を感じたのですが、そのベースになって、緩んだところがひとつもない。かっこいいおじいさんです(*^^*)(配置は、向かって左にフリス、右にスクラヴィスでした。)
拍手は長く長く続き、10分間くらいの非常に激しいアンコール1曲やりました。3人でやってると思えないくらい、次のロスコー・ミッチェルの大編成バンドより音が大きかったかも。開始前、フリスが何かフランス語で説明をしていました。
それぞれ円熟の技量(46歳のスクラヴィスが最年少)と豊かな表現力で、3人3様に楽器をこれでもかというくらい使いこなして、さらにいろんなことをやってやるぞという気迫に溢れ、どちらかというと聴きやすい?フリージャズを聴いたのかもしれませんが、この爽やかさ、聴衆に対する色気みたいのがいっさい感じられないところから来ているのだなぁ、とか、私は思いました。ユーモラスな要素にしても、ありがちな気恥ずかしさ(これってお客に媚びると出てくる気がする)と無縁。凄いもの聴いたという感覚が残るのみ。いろんな感想を持つ人がいるのかもしれませんが。