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Louis Sclavis Trio
Louis Sclavis (cl,sax), Michel Godard (tuba), Francois Merville (ds)
1999年4月8日(木)Salle Athena (La Ferte Bernard)
1999年4月9日(金)Theatre de la Halle au Ble (La Fleche)
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パリに続いて、オートレースで有名なル・マンを中心に開かれている「Europa Jazz Festival du Mans」に行ってみました。このフェスティバルは20周年を迎えていて、今年は3月30日〜5月12日まで。プログラムはこちらにあります。
ルイ・スクラヴィスは、シュヴィヨンを入れたトリオで2ヶ所、ミシェル・ゴダールを入れたトリオで3ヶ所、ソロで1ヶ所、「rural tour: en plein champ」というツアーのタイトルどおり、ル・マンから電車やバスで30分〜1時間くらいの町や村を巡っていました。私はそのうち3ヶ所を、春の風景をめでつつ追っかけてきました。
なんてゼイタクな旅。
まずはトリオのライブから。どちらもゴダールが参加したものです。
チューバを入れたトリオってどんなんだろう?って思いましたが、確かに象さんが入ってきたようで軽快さには欠けるんですけど、重量感あって面白かったです。スクラヴィスが、重さをおぎなうように上へ下へと吹きまくる感じでした。メルヴィルのドラムスも合せたのか、何となく腰の据わった?音に聞こえたし。並び方は、向かって左からスクラヴィス、ゴダール、メルヴィルでした。
フェスティバルのディレクターがいつも最初にあれこれと口上を述べ、大きな拍手で迎えられていました。どちらの会場も、予約なしでは危い盛況。地元の人で占められている感じでした。遠方から来る人なんてないみたい^^;
8日の会場となった街は、運河のある古い小都市で、旧市街を離れた近代的なホールで演奏されました。9日の方は、ル・マンからバスでしか行けませんが、ロワール河沿いの美しい街(同じロワール河でも、有名なLa Loireではなく、Le Loir)。ホール自体が文化財のような古いもので、ここを訪れるだけでも一見の価値がありましたが、席数が少なくてなんと完売でした。しかし、旅行者センターで「ロンドンから来たんです」と話したら、係の人が吃驚仰天。他にも当日券を求めていた人がいたこともあり、補助席を出していただくことになってしまいました。たまたま運がよかっただけ。やはり早めの予約は欠かせないようです。
曲順など構成は2ヶ所ともだいたい同じだったようで、「Procession」のようなCDでおなじみの曲や、映画のサントラに入っている美しい曲「LE TEMPS D'APRES」(これ日本ではシュヴィヨンとデュオで演奏されたと思いますが、こちらではチューバと。重量感ありましたー)、メルヴィル作品など新曲らしいものもいくつか。
そしてそして、ここでもやっぱり「Ceux qui veillent la nuit」。トリオでやりました。ベースよりむしろ軽みを感じるような、どこかユーモラスな味だった気がします。
うー、私はやっぱりブルーノ・シュヴィヨンのベースで聞きたい気がするのですが、面白いし、ゴダールさんの循環奏法とか、見所も多かったです。とにかくそんな批評めいたことなんか言いたくないくらい、会場の雰囲気がソフトでいい。
特に、La Flecheの小さいホール。お客さんが場所と音楽を心から楽しんでいる、親密な雰囲気が伝わってきました。ここでのアンコールは「枯葉」!〜「Pourquoi une valse」("Rouge" (ECM 1458)に入ってる印象的なワルツ、これ最後にやるのがお約束みたいですね)でした。もちろんただの「枯葉」じゃないですけど^^; お客さん大喜びでまた拍手拍手。
この劇場のある建物、17世紀のものらしいんです。アリーナの上方は、手すりのある席が2層、半円形に囲んでいて、丸天井も美しく彩色され、昔のオペラでも再演したらさぞかし雰囲気があるだろうという趣でした。
…各駅停車の窓から見るフランスの田舎の春の風景。小さい無人駅で停車すると、すぐ下の農家からニワトリの声。小川のほとりにアヒルの親子や羊の群れ。遠くはぼおっと霞んだような新緑と木の花。安野光雅の絵の中に入ったみたい。