18 juin 2000 -
ひさしぶりの「るいるい日記」更新であります。
まずは、レコーディングがあったことを99年10月23日にお知らせしていた、クィンテットのアルバムについて。
その後どうなったかと心配していましたが、ECMレーベルから今年11月頃にリリースの予定で進行しているようです。あ〜〜よかった!1週間前にメールス・フェスティヴァルでクィンテットのステージをご覧になったばかりという方から、このバンドがとても良かったという速報もいただきました。ますます楽しみだよーん。
一方、ディスコグラフィには2000年最初のルイ参加作を載せることができました。アーティストはDenez Prigent(デネーズ・プリジャン?)、現代的なアプローチも加えながらブルターニュの伝統音楽を新展開させようとしているシンガー&ソングライターのようです。私はこのアルバムで初めて知りましたが、フランスではかなり有名みたい(LiberationのCDレビューに載っていたと友人が教えてくれたのです)。なかなかフォトジェニックな人で、本人もそれを自覚しているのか写真がちょっとナルナルしてます。
アルバム「Irvi」では1曲を除いてすべてブルトン語で歌われていて、仏語の訳詞もついてないので内容はよくわかりませんが、古い伝統音楽のメロディを使ったと記されている2曲以外はみなオリジナルのよう。
音は、きっと「今」のケルト音楽が好きなひとにはとても魅力的なんだろうなーと思います。テクノ味がまぶしてあったりしますが、全体にミステリアスなイメージを押し出したもわーっとエコーがかかったような音づくり。私の好みではちょっとtoo muchな印象。
しかし、ルイの参加した2曲のうち片方の「Daouzek hunvre」(12の夢、という仏語訳がついている)が、ルイがいるからということは置いといても(^^;)とても印象的な曲。他の曲にも参加しているヴァランタン・クラストリエにも注目ですが、Prigentのブルトン語による語りと、この曲のみ参加のベルトラン・カンタ(ノワール・デズィールのヴォーカル)によるフランス語の語りがたいへんカッコよい。ルイのクラリネットを前面に出さず、ぴろぴろぴろぴろ遠くの方で聞こえてくるような感じにしているのもグッドよ。
1月にパリに行ったとき、Les Allumes du Jazzのオフィスに連れていっていただいたことは旅日記に書きましたが、ここがニュースペーパーの発行を始め、いま3号が出ています。
表の特集は若手注目ジャズミュージシャンの対談やアンケートなんだけど、「裏」がちょっとしたスクラヴィス特集になっているというか...
まずひとつは、7人のミュージシャンが答えているアンケート。自分が影響を受けたミュージシャンやジャズについて、スウィングについてなど質問しているのですが、最後に、5人の人名を挙げて意見を聞いているのね。その人選がこんなことになっているの。
ルイ・アームストロング/ピエール・ブーレーズ/ルイ・スクラヴィス/オースン・ウェルズ/フランソワ・ミッテラン
なんでえ〜〜、どうしてこんな人選になるのおお〜〜〜(^o^;)そんなに偉いんかー>ルイ、と、遠方のファンとしては若干うろたえているわけなんだけど、なかなか興味深かったので、ルイに関しての答えだけ紹介してみましょう。
ソフィー・アニェル(p):意見なし。
オリヴィエ・ブノワ(g):初めて聴いた非アメリカ人ミュージシャンのひとり。すごく印象的だった。
ベルナール・サンタクリュズ(b):大好きだ!彼の音楽、独学で進んできた道、厳しさ、疲れを知らない仕事ぶり、創造性には驚嘆しているよ。
ルシア・レシオ(p):彼らを彼女たちと結婚させてみましょ。
a)イヴォンヌ・ド・ゴール(アームストロング)
b)ラ・パッショナリア(ブーレーズ)
c)Madona(スクラヴィス)(<へ??マドンナ・・・???)
d)アヴィラの聖テレジア(オースン・ウェルズ)
e)ローザ・ルクセンブルク(フランソワ・ミッテラン)
クリストフ・モニオ(sax):99年のUzesteフェスティヴァル、森の中で聴いたベルナール・リュバとの滅多に見られないデュオ。Duguesclin、チャーリー・パーカーをめぐる「Clarinettes」の作品。(<でもほんとは「Chine」収録曲だよ^^;)
メデリック・コリニョン(vo):永久運動しているかのような人物。何度か会っているけど、彼に会えるのはいつも嬉しいね。ただし唯一イヤなのは、彼が吸いかけのタバコを加えたままトリュフを食べること!うそうそ、彼は偉大なミュージシャンだよ。
パスカル・ラベ(vo):私にとっては、スクラヴィスの名前はまずARFI、フォルクロール・イマジネール、それからフランスの体制内のジャズに結びついている。フォルクロール・イマジネールという考え方にはとても感激したの。コンサートでは何度も喜びとともにルイ・スクラヴィスを聴いてるわ。彼の音楽の多様性も、ブルーノ・シュヴィヨンとか何人かのミュージシャンに示している彼の誠実さも私は好きよ。逆に、彼のディスクは「clean」すぎるように感じるわね。
Les Allumes du Jazz 3号には、もうひとつ「スクラヴィス」関連記事が載っています。2号から「雑誌に載った批評を批評する」というコーナーができたのですが、今号でとりあげられたのが、Jazz Magazine2000年2月号に掲載された「Clarinettes」リイシュー盤のレビューで、そのレビューを批評しているのがNatoレーベルのジャン・ロシャールなのです。これがとても面白くて、批評されているレビューを読んだときに私がなんとなく感じた疑問点もしっかり指摘されていたりなんかして、できればいずれ何らかのかたちで、内容を紹介できればいいなあ、と思ってます。